芸術係数@CSLAB「オルターモダンとグローバリゼーション後のアート」
芸術係数@CS-Lab:「オルターモダンとグローバリゼーション後のアート」日時:2013年6月20日 17:00-
講師:辻憲行(芸術係数)
会場:CS-lab(東京造形大学内)料金:無料芸術係数blog:http://gjks.org/「オルターモダン」はニコラ・ブリオーによって企画された2009年の第4回テート・トリエンナーレのタイトルであり、同展のカタログに寄せられたブリオー自身の巻頭論文のタイトルでもあり、またブリオーが2010年代以降の来たるべき時代状況に与えた名前でもある。
ブリオーの短い要約によれば、「オルターモダン」を特徴付けるオルターモダニズムとはモダニズムとポスト・コロニアリズムとが総合した思想であり、徹底的にグローバル化した世界においてモダニズムの理想の再構成を目指しつつ 、歴史を単線的にではなく複数の経路としてとらえる見方である。
そして「オルターモダン」展は、この思想のモデルを提供することを目的として企画されたのである。展覧会の出品作品を特徴付けるのは3種類の(空間的、時間的、記号的)ノマディズムであるとされる。参加するアーティストたちは、空間や記号の単独性や固有性を直線的な時間性とは異なる時間性、つまり異なる経路、を経由させることで複数化しようと試みようとしていると言うのだ。そしてブリオーは彼らの作品は、そうした時間、そうした経路を辿る彼らの軌跡が形式化されたものであると定義する。
今回の講義では、サイモン・スターリング、ケイティ・パターソン、トリス・ヴォナ・ミシェル、ダレン・アーモンド、フランツ・アッカーマン、ヨアキム・コースター、レイチェル・ハリソン、ワリード・ベシュティ、スボドゥ・グプタ、パスカル・マルティン・タユー他、参加作家たちの作品の紹介と考察を通じて、オルターモダンとその展望について考察してみたい。同時に、先頃開幕した第55回ベネツィア・ビエンナーレの受賞結果と授賞理由の検討から、それが実際のアートワールドに与える影響についても議論を試みたい。
辻憲行