アーティストトーク「地球をかたづけるまで」(ゲスト:大和田俊、福尾匠)
当日配布資料:CSLAB配布テキスト(リンク先よりDL可能)
Youtubeアーカイブ公開期限:2022年7月27日(水)18:00まで
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アーティストトーク
「地球をかたづけるまで」
ゲスト:大和田俊(アーティスト)、福尾匠(現代フランス思想、批評)
日時:2022年6月23日(木) 午後5時〜
場所:CSLAB(東京造形大学)、Youtube Live有り
参加無料、予約不要
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アーティスト 大和田俊さんのゲストトークを行います。
大和田俊さんは音響によって生物や環境に関わりながら制作を行ってきました。2億7千万年前の石灰岩を溶かし、その音をマイクで拾う《unearth》(2016)を制作した後、1年間のインドでのリサーチを経て個展「破裂 OKひろがり」の制作と発表を行い、2021年11月に《unearth》を片付けるワークショップを行いました。
今回のアーティストトークでは、 大和田さんの活動についてお聞きするとともに、これからどうしていくかについてのアイデアをお話しいただく予定です。 聞き手には、 批評家・哲学研究者の福尾匠さんをお招きします。
ぜひご参加ください。
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大和田俊《unearth》2016 Photo:Ryohei TOMITA
個展「破裂 OK ひろがり」福尾匠さんによる展評
https://bijutsutecho.com/magazine/review/23723
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角を曲がって少し先にある窪みの、暗い廊下のようだが人でいっぱいの商店で瓶ビールを2本買った。 黒い袋を手渡され、 来た道を戻る。 日が沈もうとしていて、 空は薄青い。 角を曲がる直前、 袋が裂け、 ビールが落ちてしまってものすごい音とともに緑色のガラスが粉々になる。ここのビニールは薄いだけでなく、 粘り気が全然ない。 小さな裂け目が張力に耐えきれず拡がって、 瓶が落下し、 割れる音が反射する。 それを聞いたあとにそれらはまとめて、 瞬間的な出来事ということになる。
高級マンションの車庫に入ろうとしていたアウディから男が降りてきて、顔をしかめ (おそらく彼はここの多くの人々同様酒を飲まない)、 きちんと確実に持たないからそんなことになるんだ。 ガラスはひとつ残らずかたづけていくこと。 この辺りには裸足で歩く人もいるのだから、 彼らが怪我をすることのないように。 気まずくなったり焦ってしまって、急いで破片をかたづける。 こんなゴミだらけの街で。 (大和田俊)
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ゲストプロフィール:
大和田 俊
1985年栃木県生まれ。アーティスト。現在、東京を拠点に活動。音響と、生物としてのヒトの身体や知覚、環境との関わりに関心を持ちながら、電子音響作品やインスタレーションの制作を行なっている。東京藝術大学音楽環境創造科卒業、同大学院先端芸術表現専攻修了。
近年の主な個展・プロジェクトに、「地球をかたづける」(札幌文化芸術交流センター SCARTS、札幌、2021-2022年)、「破裂 OK ひろがり」(小山市立車屋美術館、栃木、2020年)など。近年の参加グループ展には、「no plan in duty」(PARA、東京、2022年)、「「新しい成長」の提起 ポストコロナ社会を創造するアーツプロジェクト」(東京藝術大学美術館、2021年)、「WRO Biennale」(ポーランド、2019年)、「Ars Electronica 2018」 (オーストリア、2018年)、「不純物と免疫」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京、2017年)などがある。
http://shunowada.com/
福尾 匠
1992年生まれ。現代フランス哲学、批評。日本学術振興会特別研究員PD(立教大学)。著書に『眼がスクリーンになるとき:ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』(フィルムアート社)、論文に「ポシブル、パサブル:ある空間とその言葉」(『群像』2020年7月号、講談社)、「ベルクソン『物質と記憶』の哲学的自我:イマージュと〈私〉」(『表象』第14号、表象文化論学会)等がある。
http://tfukuo.com/