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2020 REPORT

美術史家としての現代画家 ピーター・ドイグとイアン・キアー

ゲストイベント

「美術史家としての現代画家 ピーター・ドイグとイアン・キアー」

2020/12/11(金)17:00-19:00 会場:google meet

 美術史の実践とはただ著述活動であるだけでなく、コレクションの形成や展覧会の企画というかたちもとれば作品制作でもあり得る。とりわけ「絵画」自体が芸術ジャンルにおける特権性と自明の存在理由を失った今日、自らの表現媒体の歴史的な運命と、そのなかで忘却されていた特性を制作を通して考察し、絵画のポテンシャリティーを回復しようとする画家も少なくない。このレクチャーではそうした美術史家的な態度を有する画家の例として2人のイギリス出身のアーティスト、ピーター・ドイグ(Peter Doig, 1959~)とイアン・キアー(Ian Kiaer,1971~)をとりあげる。「ニューペインティング」に次いで現れたいわゆる「新しい具象」の代表的存在であり、一見「描くことの自由」を謳歌しているかとも思われるドイグと、建築模型やファウンド・オブジェクトと組み合わせたインスタレーションとして「絵画以後の絵画」を模索するキアー。対照的な二人の実践を同時代のイギリスの美術の文脈のなかで捉えながら、美術史と作品制作の交差から生まれるものについて考えたい。

ゲスト講師:吉村真(美術史家)1989年 京都府生まれ。2016年早稲田大学大学院文学研究科美術史学コース修士課程修了。ピエール・ボナールの研究を専門としつつ、同時代アーティストとの共同企画やトーク、テキスト執筆もおこなう。最近はピーター・ドイグ展(東京国立近代美術館)のレビュー寄稿および図録のインタビュー翻訳、またコロナ禍においてネットプリントサービスを用いて作品を配布し、「自宅のなかでの展覧会」を提案する「プロジェクト・ル・ボスケ」の企画に参加した。