txt_houmotsu_takumiOHZAWA
7年間使用していたゲーミングPC。ゲームをプレイしつつ、Googleで上手くなるコツを調べる日々だった。今更他人に聞けない様なことも検索した。広場のチャットで年を越すのは爽快だったし、深夜にブラジル人とビリヤードして互いのショットを褒めあったこともある。遠出する時は、出先の建物や周辺をストリートビューで確認したし、帰宅すれば撮ってきた写真を編集していた。
一昨年、一人暮らしを始めてすぐに故障し、起動すらしなくなった。修理に出すことも考えたが、もう寿命だったので買い換えた。
モニターやキーボードは取って置き、起動しないコンピュータは捨てることにしたが、その前に箱の中身が気になった。バラしてみると中身は地味な板ばかり、板には大量の配線が施されていて、至る所に埃が被さっている。こんなもので、世界と繋がってきたことが信じられなかった。取り外した部品は大切に捨てていく。
しかし、箱のフレームは市が指定するゴミ袋に入りきらなかった。処分に迷い、とりあえず部屋の片隅に置いておくことにした。バラすことが困難なフレームは、僕が乗るには十分な強度をしていて、気づけば脚立として使うようになっていた。